先天異常の原因

人体の活動の実働部隊はタンパク質

人体は、1つの受精卵から細胞分裂を経て、最終的に60~100兆個の細胞から構成されます。
基本的には、同じ細胞がそのまま複製されていきます。

細胞の働きを実際に担っているのは、多種多様なタンパク質(酵素も含みます)ですが、
そのタンパク質の設計図と言えるものが、遺伝子です。

遺伝子は、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、アデニン(A)の4種類の核酸(デオキシリボ核酸:DNA)が連結したものです。
3つDNAが1つのアミノ酸の設計図となり、DNAには20種類のアミノ酸の並び方が表現されています。

タンパク質は、20種類のアミノ酸が、様々な並び方で連結され、複雑な構造となったものです。
実際に、細胞の活動を行っているのは、タンパク質(酵素)であり、細胞の形や構造を構成しているのもタンパク質です。

つまり、タンパク質が細胞の実働部隊であり、人体の活動を維持しているともいえます。

設計図に変化が起きると、どうなるか?

遺伝子はDNAの並び方です。
その並び方が変わったらどうなるでしょうか?
例えば、1つのDNAが別のものに変わったり、1つ減ったり、1つ増えたりしたらどうなるか。

1つ増えたり減ったりすると、その部分より後ろのDNAの並び方は変わっていませんが、3つで1つのアミノ酸を表しますので、アミノ酸の並び方(つまりタンパク質)で見た場合、結果として大きな違いとなります。



また、1つのDNAが別のものに変わった場合はどうでしょうか。



この場合は、DNAが変わった部分のアミノ酸は別のアミノ酸になりますが、後ろのアミノ酸の並びは変わっていません。

ところが、たったひとつのDNAの変化で、病気となってしまうケースがあります。
例えば、鎌状赤血球は、ヘモグロビンというタンパク質のアミノ酸が1つ変化するために起こる病気です。
GAGの部分のAがTに変わり、GTGになるだけで、下記の左のように赤血球に変化が起き、貧血になります。

染色体・遺伝子の変化

タンパク質の設計図である遺伝子(DNAの並び)は、染色体という構造を取ります。
遺伝子が連なったひも状のものが、コンパクトに巻き縮んだ状態の構造です。設計図の塊といってよいでしょう。



ヒトの場合、46本の染色体がありますが、同じ2本の対になっているのが22組(2対が22組で44本)、男女性を決定する性染色体が2本あります。

1つの受精卵から細胞分裂を経て、60~100兆個の細胞になっていく際、この46本の染色体は同じものが引き継がれていきますが、ごく稀に染色体の数が増えたり、減ったりすることがあります。また、染色体の大きさが小さくなったりすることがあります。

染色体は、遺伝子という設計図の塊です。しかも、46本で最適な状態で動くように絶妙にバランスが取れたものです。そのため、1本増えたり減った状態は、そのバランスが壊れた状態です。したがって、細胞の正常な活動が出来なくなります。

ヒトの体は、同じ設計図が入っている60~100兆個の細胞から出来ています。しかし、全ての細胞が同じ活動をしているのではなく、神経・筋肉・内臓といった体の場所、胎児や大人といった時期によっても、活動の内容が違っています。

そのため、1つの遺伝子に起きた変化や、染色体そのものに起きた変化が、結果として大きな変化して病気という形で現れます。

染色体異常

遺伝子の集合体である染色体の数が多かったり、少なかったり、部分的に千切れていたりする異常
(下記は21番目が3本となっており、トリソミー21という。ダウン症の原因)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加